7月5日(日)午後4時から名古屋市のルブラ王山にて、東京教育大学出身で日展理事の山本眞輔先生を講師として、支部主催講演会を開催した。先生の講演は、彫刻と彫塑の違いに関する説明から始まった。まず、先生の専門である彫塑は、一般には彫刻というくくりの中で捉えられているとのことであるが、実際は、彫刻とは、木や石など硬い素材を彫り刻む技法をいい、彫塑は粘土などの可塑性素材を盛りつけて形を作る技法であると指摘された。先生はこのようにして、私たちの陥りがちな誤解を解くと同時に、彫塑の魅力を熱く語り始めた。
先生は講演の中で、芸術作品の持つ力について、専門的、芸術的な話をされたが、その範囲を超えて、教育や人生のあり方についても熱意をもって話をされ、その内容は示唆に富み、大変有意義なものとなった。特に印象に残ったのは次の点である。
人間は理性と感性から成り立っており、普段見落とされがちな感性の部分に焦点を当てその部分を伸ばすことの大切さを力説された。簡単な絵を提示され、その絵から得る、大人と子供の発想を比較し、いかに子供の発想が豊かであるかを明確に示すことによって、今の教育に何が欠落しているかを私たちに教えようとされていた。
先生の語りは終始熱気を帯び、彫塑の魅力に始まり、人生や教育のあり方についての示唆に富む内容が随所に盛り込まれていた。会場に集まった会員からは惜しみない感謝の拍手が起こり、講演は終了した。
講演会に続いて、午後5時から支部総会を行った。鳥山支部長の挨拶に続き、高野事務局長からご挨拶をいただいた。本年度は新支部長を選出する年であり、鳥山支部長から、新支部長として高須先生を選出したいという旨の議事が提案され、満場一致で承認された。その後、高須新支部長が挨拶をのべ、茗渓会愛知支部のさらなる発展を決意された。
総会の後、講師の山本先生や高野事務局長にも出席していただいて、懇親会を行った。今年度も100名を超える会員が参加して懇親を深めることができ、非常に盛況であった。