日時/2019年6月19日(水) 19:00~21:20
場所/茗渓会館4階 筑波の間
懇親会/茗渓会館1階 カフェ&レストラン
参加/23名
話題提供者:應本 昌樹氏(弁護士・教育の森法律事務所)
筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 企業科学専攻企業法コース 博士課程 2016年修了
題目「我が国の司法制度と民事訴訟費用の調達手段」
今回は、弁護士として最前線でご活躍の應本 昌樹(おうもと・まさき)さんに「我が国の司法制度と民事訴訟費用の調達手段」と題して話題提供していただきました。
應本さんは、1990年に東京大学法学部を卒業して損害保険会社にご入社。13年以上に渡って様々な部署でご活躍された後、弁護士を目指して会社を辞め、ちょうど法曹養成制度改革に基づいてスタートした法科大学院の設立一期生として2004年に進学されました。また、2007年に弁護士資格の取得後、改めて筑波大学大学院・ビジネス科学研究科企業法コースに進み、2016年に博士号を取得して、現在は、多くの法曹人養成の現場でもご活躍です。
当日は、まず初めに「司法制度」の全体的な基礎知識のおさらいをしていただきました。「最高裁判所」の下、全国で8つある「高等裁判所」や「家庭裁判所」「地方裁判所」「簡易裁判所」といった裁判所組織の構造および数、そして、「法曹」と称される「弁護士」「裁判官」「検察官」という3種類の職業について、その役割や現在の人数について教えていただきました。
次いで、本題である「民事訴訟にはいくらかかるのか」というお話に移り、民事訴訟の費用は「訴訟費用」と「弁護士費用」に大きく区分することができ、「訴訟費用」は、「提訴手数料」「郵便代」「証人に支払われる旅費・日当」といった内容で、原則として敗訴者が負担するのだということを知ることができました。また、「弁護士費用」には「弁護士報酬」と「実費」があり、「弁護士報酬」は、2003年より弁護士会の定める報酬基準が廃止され、現在は完全に自由化されているとのことです。とは言っても、実務上、相当数の弁護士が廃止された報酬基準に準じて報酬金を算定していることを教えていただき、その算定表を具体的にご紹介いただきました。
ところで、問題は、その費用の高さであり、「どうやってその費用を調達するか」ということになります。「資金がなければ訴訟ができない」ということでは、「司法・裁判」の持つ意味が損なわれてしまいます。
そこで、應本さんから、話題提供の締めくくりとして、「いかに費用を調達するか」についてご紹介していただきました。まずは、資金の乏しい者に対して用意されている「訴訟救助」「民事法律扶助」といった各種制度です。そして、もう一つ、「弁護士費用保険」といわれる「権利保護保険」です。これは、自動車保険や火災保険・傷害保険の特約の形では以前から浸透していましたが、近年ではその適用の幅が格段に広がり、離婚や相続といった家事事件を含んだものまであるとのことで、参加者にとって本当に新鮮な情報となりました。
「裁判・訴訟」は、その時になるまでなかなか具体的には考えることができないものですが、今回の應本さんの具体的な話題提供は、その「準備」の必要性を深く理解する機会となりました。