一般社団法人 茗渓会

筑波大学同窓会
筑波大学/東京高等師範学校/東京文理科大学/東京農業教育専門学校
/東京体育専門学校/東京教育大学/図書館情報大学/図書館短期大学
2013年6月7日掲載

「ラグビー部の軌跡」展と講演会

会場風景
パネルディスカッション
江田昌佑氏
伊與田康雄氏(筑波大学名誉教授)
辻高志氏(元早稲田大学ラグビー監督、茗溪学園ラグビー部OB)
田村一博氏(ラグビーマガジン編集長)
前田嘉昭 氏(筑波大学ラグビー部OB会長)
中川昭氏(筑波大学教授・体育系長・ラグビー部長)

筑波大学ラグビー部が大学選手権準優勝に輝いたことを記念して、茗渓会が筑波大学および茗溪学園の共催を得て開催した「ラグビー部の軌跡」展は、4月20日(土)から6月2日(日)までの間、2期に分けて延べ34日間にわたる長期展示会となりました。その間2回の講演会を開催し多数の参加者がありました。

4月20日のオープニングでは、永田恭介新学長はじめ大学およびラグビー部の関係者多数が参加され、講演会は、「筑波大学ラグビー部のこれまでと今から」をテーマとして、中川昭氏(筑波大学ラグビー部部長)と、古川拓生氏(同監督)によるお話がありました。

基調講演とパネルディスカッション

第2期展示初日の5月11日には、「茗渓ラグビーに期待するもの」と題して、基調講演とパネルディスカッションを開催しました。

基調講演は、茗渓会理事長の江田昌佑氏が「変革への道のり」というタイトルでお話になりました。江田氏は、「草創期の茗渓ラグビーを語るとき忘れてはならない人に、東京高等師範の卒業生でラグビー部の「部歌」を作った工藤一三さんや柔道家の岡部平太さんがいます。岡部さんたちは、文献をあさり、辞書を片手に原書を翻訳し、一から実践をしながら、ラグビーを一歩一歩自分たちのものにしていったのです」「大学が移転した頃のつくばの地は何もない荒野のようなところでした。この地に生活の糧となるようなスポーツ文化を築こうと皆で考え、お年寄りから子どもまで楽しめるラグビークラブをつくることになりました。それでできたのが “ツクバリアン”です。英国の伝統あるラグビークラブの名称“バーバリアン”をもじってつけました。」などのお話をされました。

つづいて伊與田康雄氏(筑波大学名誉教授)が司会者として、「筑波大学ラグビーをどのようにみているか」「七人制のラグビー」「ラグビー選手のプロ化と大学ラグビーのあり方」などの問題を提起し、パネラーの意見交換が行われました。

ご発言からいくつか拾ってみます。

辻高志氏(元早稲田大学ラグビー監督、茗溪学園ラグビー部OB)
筑波大学の印象は「とても勤勉なチームだな」ということです。教育者をめざしている人が多いという学校のカラーもあると思いますが、対戦する前に私たちのすべてを分析されているというように感じていました。
田村一博氏(ラグビーマガジン編集長)
最近、筑波大学に行きたいという有望な高校生が増えているということについて取材したのですが、その一番の理由は「寮がないから」ということでした。私たちはすぐ「楽をしたいからではないか」と勘繰ってしまうのですが、選手の皆さんの答えは、「楽をするために筑波に来たのではない。人間は一人で考える時間が必要だから、自分たちはそれを求めて筑波に来たんだ」というものでした。
前田嘉昭 氏(筑波大学ラグビー部OB会長)
筑波大学ラグビーの大きな役割に?人材の育成〃があります。最近は、生涯スポーツ社会の構築が求められていますが、わが国では、欧米のような生涯を通じてスポーツを楽しめる環境がまだ少ない。子どもからお年寄りまで、そして、元気な時だけでなく体力が衰えてからもスポーツを楽しむことのできる生涯スポーツ社会づくりのリーダーになる人材を育ててほしいと思っています。
中川昭氏(筑波大学教授・体育系長・ラグビー部長)
どこかで、当事者自身が立ち止まって、「大学ラグビーはどこをめざしていくのか」ということを議論し、これからの方向を考えていかないと、大学スポーツの理念が失われてしまうのではないかと危惧しています。だから私ども筑波大学では、そこを見失わないように「大学スポーツの王道をめざそう」ということを念頭に置いてラグビーに取り組んでいます。
江田氏
茗渓ラグビーの一番の役割は人材の育成です。茗渓ラグビー88年の歴史を振り返ってみても、多くの人材を育て、世に送り出してきました。筑波大学の永田恭介新学長が、筑波大学の人材育成のマインドは「師魂理才」だと言っています。「親や先生のように人に接する心や人をまとめる力をもち、かつ合理的に問題を解決する才能をもつ」という意味ですが、茗渓ラグビーのめざす方向は、そういう「師魂理才」を身につけた人材を育てていくことではないでしょうか。

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