- タイトル
- 匂いで害虫をコントロールする
- 著者
- 望月文昭 澁谷達明(昭28教大動 昭33院博動)
- 発行所
- フレグランスジャーナル社
- 形式
- B6判 157ページ 1,470円(「香り選書」シリーズ18)
フェロモンという言葉は、最近の研究の進展とともに一般の方々にもかなり理解されるようになってきました。その中でも果樹やお茶などの果実や新芽に害を与える鱗翅類の蛾の性フェロモンの研究がここ三十年で急速に進み、とくに雌蛾が分泌する性フェロモン物質の分子構造の解明とともにその化学合成も可能になりました。その匂いを利用して有害な蛾類を防除する技術が開発され、すでに世界的に実施されています。昔行われていたような農薬の散布による危険な害虫駆除法ではなく、特定の種類の蛾の性フェロモンの匂いを該当する圃場にセットする新技術によって、その種類の雌雄の交信を混乱させて繁殖できないようにすることが可能になったのです。有害な農薬を大量に使うことによる危険性が避けられる新手法で、ほとんどの部分が日本の研究者によって開発された技術です。本書では基礎的な蛾類の性フェロモン分子の受容から配偶行動のメカニズム、その技術開発に至るまでが解説されています。
(茗渓1077号に掲載)