一般社団法人 茗渓会

筑波大学同窓会
筑波大学/東京高等師範学校/東京文理科大学/東京農業教育専門学校
/東京体育専門学校/東京教育大学/図書館情報大学/図書館短期大学
2012年11月10日掲載

茗渓図書館『我孫子人物誌』『我孫子施設と水』

タイトル
我孫子人物誌(1)
我孫子施設と水(2)
著者
野口澄夫(昭25文理大化・29院修)
発行所
東京図書出版会
形式
(1)A5判 209ページ 1,500円(税別)
(2)A5判 206ページ 1,500円(税別)

著者は研究者であり、教育者であり、経営者としても活躍してきた。第一線を退き、地元千葉県(我孫子市)でアビコガイドクラブ(平7)を結成し、地元の史跡など53カ所ものガイドを17年間も担っている。その間、時に応じて「あびこガイド余話-あびこに住んだ人々他」と題して自費出版を重ねてきた。このたび上梓した2冊の図書はその集大成であり、そこには単なるガイド本ではなく、著者自らが広く資料を調べ、現地調査を重ね、関係者からの聞き取りなどを含めた精査に基づいた貴重な史料の数々を読み取ることができる。

すなわち、「我孫子人物誌」では嘉納治五郎をはじめ14人の我孫子に住んだ著名人が登場し、各偉材の足跡や人間像を克明に描いている。特に嘉納治五郎は地元では最初(明44)に別荘(住居)を開いたこと、また一般には知られてない地元での嘉納後楽農園(約7ha)の開設記事など大変興味深いものがある。一方、「我孫子の施設と水」では全国的にも著名な山階鳥類研究所や我孫子鳥の博物館などその建設経緯など詳細に解説する一方で人物誌で登場した人達の別荘(住居)の開設経緯が克明に書かれている。その中で嘉納治五郎が何故我孫子の一角に別荘地を選んだのかなどの記述には治五郎の人間像の一端を知る上で興味つきないものがある。

著者は近年ここで取り上げた著名人の墓参も重ねており、嘉納治五郎の墓(都立八柱霊園)についても丁寧に紹介している。生誕150年を経た嘉納治五郎の公開されていない我孫子市での秘話など多く記載されており、是非ご一読をお勧めしたい。

紹介文:遠藤織太郎/昭33教大農 元筑波大学教授(茗渓1075号に掲載)