去る11月24日(日)、茗渓会館において100名を超える同窓が集い、念願の「東京都茗渓会(以下、都茗渓会)」が発足しました。その第1回総会(都茗渓会発足会)や記念講演、交流会の様子についてご報告いたします。
第一部 総会(発足会)
柳久美子世話人(文教大学付属幼稚園長)の開会の挨拶の後、高橋基之代表世話人(都立目黒高等学校長)から「都茗渓会」発足までの経緯についての報告がなされた。
地域・業界・世代の枠を超えて
東京都茗渓会 会長 高橋基之平成25年11月24日(日)午後2時より、「東京都茗渓会」の発足と第1回総会を茗渓会館にて、池田達郎氏の司会のもと、氏家幹人氏の記念講演会、その後の交流会を含めて、100名を超える参加者を集めて開くことができました。筑波大学の開学40周年という記念すべきこの年に、会を発足させることができ、世話人一同、参加者のみなさま、そして茗渓会事務局をはじめ、この会の発足に関わった全ての関係者のみなさまに、心から感謝する次第です。
ほぼ1年にわたる準備期間の中で、東京都における28の支部組織の今後のあり方にも触れて議論を行い、この「東京都茗渓会」の名称、会則、そしてこの第1回総会のあり方を考えてまいりました。当日の議事の中での質問にもありましたが、名称については「東京茗渓会」でよいのではないかとの意見も、世話人の間でも議論いたしました。しかし、現在の茗渓会の支部組織については、組織委員会での今後の検討をふまえ、今回はあくまで東京都にある支部を全てくくり、東京都を一つの支部にまとめてというところまでは至らずの発足となりました。
今後、東京都を神奈川県のように「神奈川茗渓会」として、一つの組織として運営していくことも検討して参りたいと思いますが、新宿や葛飾の支部が活動している実態もあり、それらの支部活動の活性化と東京の活動の在り方も調整していかなくてはなりません。
組織の形も大事なのですが、これまでは東京都全体としての活動は行っていなかった実態から、まず一歩踏み出して、東京都全体の会を発足させて、それにより人が集まり、知恵を集め、東京都の活動を活性化させていきたいと考えました。筑波大学を卒業しても、茗渓会に入会しないという同窓が多くいること、また、各支部で実際に十分に会員を把握していないことなどを踏まえ、集まった会員のネットワークも活かしながら、会員を把握し、より良い会にしていきたいと考えます。そして、茗渓会の中にあって、多くの会員数を持つこの東京の活動を、是非とも、全体として活性化してまいりたいと思います。
そこで、支部組織が残っている以上、まことに恐れ入りますが、改めて支部の所属を、みなさまには居住の場所か勤務している場所かで確認していただきながら、実質として東京都会員の把握を行い、その上で地域・業界・世代の枠を超えてより幅広く交流し、相互に学習し合うなどの機会をつくって、絆を深めていただきたいと考えております。当日のアンケートにもご記入いただきましたが、今後もこれからの活動へのアイデアをいただければ幸いに存じます。ぜひ、これからも、みなさまには積極的な会へのご参加とご支援をお願いいたします。
将来、日本社会のみならず世界で活躍していく筑波大学生も、さまざまな社会の情報をできるだけ掴みたいと願っているはずです。一方で、筑波大学生は「つくば」という地でのんびりと過ごしている実態もあるとの声も聞きます。これからは筑波大学生に対するさまざまな支援も必要です。私事で恐縮ですが、私の父も茗渓会にはたいへんお世話になりました。私も皆さまのお力をいただきながら、微力ではありますが、「東京都茗渓会」の運営の活性化に努力し、みなさまとともに筑波大学生を支援してまいりたいと思います。
続いて来賓祝辞として江田昌佑理事長から、東京都内各支部の活性化がこの数年来の重要な支部問題であって、今回の発足による課題解決並びに今後の活動におおいに期待を寄せている旨のご挨拶を頂いた。
阿江通良副学長からは、筑波大学の近況報告がなされ、今年から大学は開校以来の三学期制から二学期制に大きく変化させたとのこと。これは第一義的に、外国や他大学との交流において従前の三学期制であると参加学生に大きな負担をかけてしまうことへの環境改善であるとのことであった。ますますグローバル化する筑波大学にとって学生の機動性をよくすることは当然のことであろう。さらに、スポーツ界における学生の活躍や、「ロボットスーツHAL」で世界的に有名な山海教授など教官の世界レベルでの活躍ぶりが紹介された。
次に、司会の池田達郎氏から自己紹介があった。今回の総会・交流会の司会は、現在早朝のNHKニュース「おはよう日本」のアナウンサーとして活躍している池田達郎氏(平01筑一人文03筑修教)にお願いした。池田氏は、現在、日本の朝を代表する番組を担当しているだけに、言葉も爽やかで会全体も何処か落ち着いた雰囲気の中でスムーズに進行できた。
議案審議
第1回総会議事の議長には、世話人代表の高橋基之氏が承認されて議長席に着いた。議案は、都茗渓会の「会則」並びに「役員」の二案であった。
第一号議案である「会則」の要諦は、①会の名称「東京都茗渓会」、②目的「会員の連携、研修、研鑽、親睦、学生支援」、③会員資格「東京都内に居住する者か勤務地のある者」で「都内のいずれかの支部の会員」となり本部会費を納めている者、④定期総会「年1回、出席者の過半数による議決」、議案内容は「役員選任・活動計画・予算決算・その他」、⑤役員構成は「会長(1名)、副会長(若干名)、会計(1名)、監査役(2名)、事務局長(1名)、事務局員(若干名)」とし、「顧問、相談役」が置ける、⑥役員任期は「2年、再任可」、⑦財務は「茗渓会からの支部活動費・寄付金・その他で支弁」、⑧会計年度は「4月1日から3月31日まで」等である。
補足として、都茗渓会では特段の会費は徴収せず、茗渓会本部会費の一部が今後支部活動費として降りてくるようになることから、それを活動費として充当したいということであった。
さらに、質疑では「東京都茗渓会」ではなく「東京茗渓会」の方が広く参加しやすくてよいとの意見、従前の都内各支部は速やかに解体して「新茗渓会」に一本化すべきとの積極的な意見等々が出された。それに対し、茗渓会理事である福岡一雄世話人から、以下の説明がなされた。
① 支部組織は現在のところ茗渓会本部の規約によっていて、この総会だけで東京の支部組織を解体して一本化することはできない(現在規約上は28の地域支部と都庁等の3つの職域支部がある)。
② 東京の茗渓会の当面の名称として「都」を使用するが、一本化になれば神奈川茗渓会と同じ全県支部組織として都県名をとって「東京茗渓会」としたい(神奈川県は全県で1支部であるので都県名をとっても不自然でない)。今は改革途上の名称であることをご理解いただきたい。
以上の説明がなされ、多数の拍手をもって承認された。
新役員決定
第二号議案「役員」では、左記の初代役員が承認された。
会 長 高橋基之(都立目黒高校長) 53筑一自
副会長 柳久美子(文教大付属幼稚園長) 50教大体
〃 真当哲博(㈱学研教育出版取締役)57筑二人間
〃 渡邉 悟(東京聖栄大学教授) 62筑博農
会 計 浅井一郎(㈲TAO企画代表取締役)55筑一人文
監査役 飯島睦子(大田区立安方中校長) 56筑修教
事務局長 德田安伸(都立園芸高校長) 55筑二農
事務局 塩津 真(㈱キャリアアンカー社長)62筑修経
〃 重政文三郎(茗渓会事務局) 42教大日
相談役 高野 力(茗渓会組織委員長) 48教大木工
〃 福岡一雄 (茗渓会理事) 32教大法政
さらに、報告事項として来年度の活動予定として、本日の出席者の要望をアンケートにて調査し、結果をもってお知らせする旨の説明が行われ、議事は終了した。
第二部 記念講演
記念講演として、歴史学者である氏家幹人先生(52教大・筑波院修了)をお迎えして「東京から江戸へ~歴史を編む人、ひもとく人」と題して、江戸時代の私的歴史書を通して武士や庶民の生き生きとした暮らしぶりが紹介された。古典解読能力を存分に活して、まさに歴史を裏面からひもとかれた講演であった。
第三部 交流会
交流会は、非常に賑やかに進行した。
まず、茗渓会組織委員長である高野力理事より、都茗渓会の発足にいたる準備委員会の苦労話が紹介され、続いて都茗渓会新会長となった高橋基之氏から都茗渓会発足の意義、役割、そしてご自身の親子二代にわたる茗渓との関わりにも触れながら、挨拶があった。
その後、乾杯の予定であったが、東京オリンピック銅メダリストで前参議院議員の小野清子先生(現【公財】笹川スポーツ財団理事長)も参加されていたことから、急遽お願いして壇上挨拶を頂くことができ2020年の東京オリンピックを祈念して盛り上がる一幕となった。
そして、江田理事長による都茗渓会への期待とともに、満身からあふれる笑顔の乾杯のご発声を合図として祝宴の開催となった。また、その際の乾杯酒「筑波大学の酒・桐の華」は、生命環境科学研究科・内山裕夫教授の研究室において実際の「桐の花」から分離した清酒酵母を使って醸造した純米吟醸酒で、辛口と香味とうま味にバランスのとれた日本酒であった。
宴会が始まると、多芸なる会員諸氏からの出し物が紹介された。まず、岡本文男氏(35教大農化)によるサイエンスショ―が始まった。
続いては、久保隆夫氏(44教大木工)により箱根マラソンのエピソードが紹介された。箱根駅伝の1920年(大正9)第1回優勝校が本学(東京高等師範)であることは紛れもない事実であり、ストックホルムマラソン代表選手である金栗四三(東京高師)は箱根駅伝創始者の一人である。以来、本学は62回の出場を果たし国立大学としては最多出場校であるが、1994年以来約20年出場を逃している。今年の予選会では14位と力を伸ばしてきているので、今後も茗渓会をあげて応援していこうと、当時の応援幟(のぼり)を展示されてのスピーチであった。
続いて、今回の参加者の内で最年長者が紹介された。恩田和也氏(28教大教)と亀井浩明氏(28教大教)のお二人である。お二人は同級生であるが、恩田氏は民間企業(コカコーラ)へ、亀井氏は教育界に進まれた盟友で極めてお元気なご挨拶であった。さらに亀井氏は帝京大学名誉教授で日本連合教育会会長であり、数多くの教育書の著者があり、教員であれば必ず数冊は持っている。
次は、最年少の紹介であった。渕太一郎氏(19筑一人文)は同じ会社にいる世話人(真当氏)からの誘いで参加されたが、並み居る先輩諸氏に恐縮しながらも、力強い挨拶であった。筑波を卒業してまだ6年目とは聞いたが、さすが企業でもまれているだけのことはあってしっかりしていた。
さらに、ご夫婦での参加として、我妻慎介氏(16筑一人文)とみづきさんご夫婦が紹介された。お二人は同級生で筑波大学の人文学類がご縁でご結婚されたということで、一緒に登壇されて仲睦まじい限りであった。
楽しい時間というのは矢のように過ぎていくもので、終盤に近づいてきたことから、締めの行事となった。田中正造茗渓会事務局長と清水進一神奈川茗渓会会長のお二人からは、本部並びに神奈川茗渓会の近況についてのご報告があった。
続いて、筑波大学学生歌「常陸野の」が合唱された。この歌は、何と今回の世話人の一人である飯島睦子さん(大田区立安方中学校長)が学生時代に自慢のフルートで作曲して応募されたものが選ばれて制定されたものであり、今となっては歴史秘話になっている。これまで筑波大学の入学式等において長年歌い続けられてきたが、最近大学で新しい歌を作ったために式典では歌われなくなってしまったということで残念な話である。
そして、締めはお決まりの宣揚歌「桐の葉」を大合唱した。渡邉悟世話人(東京聖栄大学教授)の口上により始まり、参加者全員で大きな輪を作って肩を組み、アイン・ツバイ・ドュライで左に右に肩を揺らし、老若男女、百名が心を一つにして歌うこの歌「桐の葉」は、茗渓の一員として生きてきたことに至福の時を感じるひと時であった。